第三場
 ジョージアの家

ジョージアはティンプにもらったペンで脚本を書いています。

「『あんた誰?どこからはいったの・・・』と。」

するとドアをノックする音が聞こえました。天使たちはジョージアを取り囲んでいましたが、物音に驚いて姿を隠しました。

「あれみんなどこへ行っちゃったのかしら。はーい。」

玄関に立っていたのは、お隣のオリエントさんでした。 なにやらいい匂いがしています。

オリエント 「こんにちわジョージア いま、お仕事中? 新しいケーキを作ったんで食べてもらおうと思ってね。」
ジョージア 「まあ おいしそう!」
オリエント 「こっちはラズベリーのパイ。こっちが新しく覚えたパネトーネ。 
うちの嫁に言わせると、生地がもっとしっかりしてるほうがいいって言うんだけどね。」
ジョージア 「ありがとうございますオリエントさん! みんなもきっと喜びますわ!」
オリエント 「みんな?」
ジョージア 「あ、いえ、それは あははは・・・お・お友達よ お友達が遊びに来てますの。」
オリエント 「あーそう。じゃ私はこれで。」
ジョージア 「ありがとうございましたオリエントさん。」

オリエントさんの後ろにはアンディが・・・

アンディ 「おばあちゃん、どうだった?ジョージア、落ち込んでた?」
オリエント 「いーや それどころか、いつもより輝いてきれいなくらいだったよ。」
アンディ 「輝いて? 僕より? エルビスの再来って言われてるんだよ、僕。」
オリエント 「も、もちろん、アンディのほうが輝いてるけどさ。」
アンディ 「そうだろう? そうなんだよ。ならいいんだ。」

オリエント夫人はアンディをもてあまして家に入っていきました。
アンディはご満悦でいつものように読書をはじめました。
一方、ジョージアの家では、天使が机によじ登り、電話をかけています。

ティンプ 「じゃ、よろしく。(受話器を置く)
ジョージア 「なにしてるの?」

ジョージアに見つかって、ビクッとし、あわてて奥に走り去る天使でした。
入れ替わりになんとも変な格好をした天使が次々と奥の部屋から出てきました。
コートを着て、帽子をかぶり口ひげまでつけています

ジョージア 「なあに、どうしたのその格好?」
ビオラ 「おしごと行くの。」
ジョージア 「お仕事って、どこへ?」
セラフ 「わかんない。」
ジョージア 「だめよ、そんな格好で外へでちゃ。」
ビオラ 「大丈夫だよ まかせといてジョージア。」
セラフ 「わたしたち、探しに行くの。」
ジョージア 「なにを?」
ミカエル 「夢のたまご!」
ジョージア 「夢のたまご?」
ミカエル 「そう 夢のたまごがわたしたちと会える日を首をながーくして待ってるの。」

天使たちは、とうとうドアから外へ出て裏道を通っていってしまいました。
奥の部屋から別の天使が両手いっぱいのFAXの紙をかかえてでてきました。

チャイム 「ねえ あの紙を食べる機械こわれちゃった!」
ジョージア 「紙を食べる・・・FAX!? ちょ、ちょっとー なにしてるの!」

ジョージアは、あわてて奥の部屋に消えて行きました。
そこへ奥の部屋から出てきたのは、なんとも変な格好をした天使です。