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ジョージア |
「どういうことなの、ミカエル!」 |
ミカエル |
「作ってもらったんだよ。」 |
ジョージア |
「誰に!」 |
ミカエル |
「お向かいのいつも鼻歌歌ってるおばさん。」 |
ジョージア |
「アニーが、まさか信じられない。 あの人のオンチは有名なのよ。」 |
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ミカエル |
「ほんとだよ。いつも歌ってたからちょっと夢の中へ行って頼んでみたの。」 |
ジョージア |
「夢の中で!」 |
ミカエル |
「そう アニーって才能あるんだよ。」 |
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楽譜を見ていたが、二人の会話を理解できないケイトは、咳払いひとつ。 |
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ケイト |
「とにかく オーディションしましょ。 出演者が集まらないと始まりませんからね。」 |
ジョージア |
「え、ええ。」 |
ケイト |
「それで、ジョージアさん、劇場とスタッフはもう押さえてあるの?? それ以外にもずいぶんなお金がかかると思うけど、 資金面は大丈夫なんですか?昨日の電話では、あなた、全部自分のお金でやりくりしてるって聞いたけど。」 |
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ジョージア |
「え?」 |
ミカエル |
「そうなんだ。ちょっと高くついたけど、もう全部払ったよ。」 |
ジョージア |
「ミカエル・・・ 。 お金は?お金はどうしたの?」 |
ミカエル |
「出してくれたの。」 |
ジョージア |
「誰が!」 |
ミカエル |
「銀行のおじさんだよ。 不景気であんまり貸してくれなかったけどこの家をチャンポに・・・」 |
ジョージア |
「チャンポ?」 |
ミカエル |
「チャンポだよ、チャンポ。」 |
ケイト |
「ああ、担保ね。」 |
ジョージア |
「担保!!」 |
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ミカエル |
「ああ、チャンポはこの家だって。」 |
ジョージア |
「・・・ ミカエル!!!」 |
ケイト |
「ジョージアさん あなた 本気なのね。私、いますごく感動してるわ。」 |
ジョージア |
「・・・ ミ、ミカエル・・!」 |
ミカエル |
「じゃ 私はちょっとでかけてきまーす!」
(といってだっと走り出しパタンと扉を閉める) |
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ジョージア |
「ミカエル 待ちなさーい! あなた逃げるの ・・・」
(大声を張り上げ、ケイトに気づきごまかし笑いをする) |
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テラスからジョージアの家の様子をうかがっているアンディ。
アニーはあいかわらず鼻歌を歌っています。
ミカエルは、前を通る時、アニーに言いました。 |
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ミカエル |
「とてもいい曲ね おばさん、天才かもよ!」 |
アニー |
「まあ ありがとう。」 |
アンディ |
「ほら、子供だ! ・・・ママの歌聞いて、天才だって。 ・・・まさか。」 |
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アニーはもう一度歌ってみました。 |
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アンディ |
「・・・・いいよね。うん いけてるよママ」 |
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アンディは、おばあちゃんにも聞かせたくなりました。 |
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アンディ |
「おばあちゃーん!」 |
オリエント |
「どうしたの!」 |
アンディ |
「ちょっとママの歌を聞いて。 ママ、もしかしたら、天才かもしれないよ。」 |
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オリエント |
「なにバカ言ってんの、忙しいのに。ほんとに」 |
アンディ |
「ママ、歌ってみて。」 |
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アニーが歌いだすとやっぱりひどいオンチでした アンディは、たまらなくなりました |
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アンディ |
「あーあー、歌ってのはそうじゃないでしょ。
いい! よく聞いてて。 歌っていうのはこうして歌うんだ。
あ、ワン・ツー あ、ワン・ツー・スリー・フォー.....」 |
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アンディが歌おうとしたその瞬間
テラス側の照明が消えました。 |
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アンディ |
「もしもしーー! 消さないでよお。」 |
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ジョージア、ケイト、キムがソファに座って話している。
大いに盛り上がって笑い声。 |
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ケイト |
「ところでジョージアさん ミュージカルのタイトルはなんて言うんですか?」 |
ジョージア |
「そう言えば、まだ決めてなかったわ。」 |
ケイト |
「いいタイトルが思いつくまで待つわ、時間はたっぷりありますから。
実は私、会社に休暇届を出してきたの。」 |
ジョージア |
「休暇届け?」 |
ケイト |
「・・・実を言うと、この仕事まだ会社の許可が取れてないのよ。でも、本気でやりたいと思ってるの。だから思い切って休暇を取って、この仕事に賭けてみようと思ったの。
今の世の中、悲しい事件ばかりでしょ。人の心を不安にするような記事ばかりじゃなくて、人の心を勇気づけるような、もっと夢のある出来事があってもいいんじゃないかっていつも思ってた。だから、電話があったとき、私が待ってたのはこれだってピンときたの。私、人に夢を与える仕事をしたいのよ。たくさんの人を幸せにしたいの。
・・・もし、よかったら、私にあなたの作品のプロデュースをやらせてもらえないかしら。」 |
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♪「ケイト」♪
きっといつかは輝ける日が来る
悲しみ苦しみいつかは笑えるよ
どこかの場所で今 哀しむ人がいる
世界のどこかで助けを待つ人がいる
いつも何かをおいかけて いくつもの夜を越えてきた
夢のかけらを集めれば 気がつけば私一人じゃない |
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三人は歩み寄り、顔を見合わせて笑いました。涙が出そうに嬉しかったのです。 |
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ジョージア |
「私達似たもの同志ね。いつか、こんな仲間が現れるのをずーっと待っていたような気がするわ。」 |
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「あのお 願いがあるんだけど・・・しばらく、ここに泊めてもらえないかしら!?さっそく仕事に取りかかりたいの。」 |
ジョージア |
「まあ、・・・。(顔を見合わせて笑う)」 |
キム |
「よろこんで!」 |
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笑いのうちに暗転 |