|
第八場
|
真夜中・ジョージアの家 |
|
|
|
真夜中です ジョージアの家の前 物陰に隠れている怪しい二人組。 |
|
 |
ジョー |
「この家だね ロイス。」 |
ロイス |
「ええ・・そうね。」 |
ジョー |
「脚本を盗むなんて、こんなヤバイ仕事、おとなしいあんたがよく引き受けたね。」 |
ロイス |
「しかたないわ・・・生活のためだもの。」 |
ジョー |
「子供を養うためって訳か・・・。なんだ、針金一本であきそうだな。」 |
|
|
|
そう言ってジョーは、ジョージアの家の方へ忍び寄っていきました。
ドアに耳を当てて中の音を確認します。
そして、ポケットから針金を取り出しドアの鍵穴に差込みました。
|
|
ジョー |
「なーにこのうち 鍵かかってないよ。 ったく、どろぼうでも入ったらどうするつもりだよ。」 |
|
|
そう言いながらジョーホワイトは、ゆっくりとドアを開け中に入って行きました。
ロイスも、後からビクビクすながらついて行きます。 |
|
ロイス |
「脚本はどこかしら?」 |
|
|
懐中電灯で照らしながら二人は、そこら中を探しています。
ミカエルが座っています。 |
|
ミカエル |
「あ!お客さんだ でもこんな遅くにどうしたんだろ。」 |
|
|
二人は、ミカエルにまったく気がつきません。ミカエルは、話しかけて見ることにしました。 |
|
ミカエル |
「こんばんわ。」 |
|
|
まったくしらん顔です。 |
|
|
ジョー |
「今なにか言った?ロイス。」 |
ロイス |
「言わないわよ。」 |
ミカエル |
「ねえ なにしてるの?」 |
|
|
|
やっぱり気づきません。ロイスの目の前に行ってみました。 |
|
ミカエル |
「なにか、探してるの?」 |
|
|
ロイスは、まったく無視です。ミカエルは、はっと思いだしました。
それは、悪いことをしている人には天使が見えないと言うことです! |
|
ミカエル |
「たいへんだ! なにか悪いことしてるんだ! だから見えないんだ天使が!」 |
|
|
ミカエルはちからいっぱい叫びました。 |
|
ミカエル |
「だーめーだーよー!悪いことしちゃー!」 |
|
|
その声が心に届いたのか、二人はピタッと動きを止めました。 |
|
ジョー |
「どうせ、・・・どうせあたしなんか何の取り柄もありゃしないんだ。
(自嘲気味に)自業自得ってやつさ、ざまーみろだ。」 |
ミカエル |
「そんなことないよ!」 |
|
|
ため息をひとつついてロイス。 |
|
|
ロイス |
「私なんか、何やってもうまく行かないんだもの・・・。もうどうなってもいいのよ。」 |
ミカエル |
「ちがうよ!あなたが輝いてる自分の姿を見失っても、決してあきらめない。私達はあなたが素晴らしい人だって知ってるもの!」 |
|
|
ミカエルがそう言うと、今まで見向きもしなかった紙の束に光が当たり、ジョーの目に止まりました。 |
|
|
ジョー |
「なんだ こんなとこにあったのか。
わっ、これミュージカルの脚本だ! ほら見て、楽譜がある。」 |
ロイス |
「私、若い時からミュージカル大好きだったの!」 |
ジョー |
「えー!そうだったの!私もだよ!(恥ずかしそうに)・・・・いつも、一人で踊ってたんだ・・・。これ、どんな曲なんだろ ねえロイス、うたえる?」 |
|
|
 |
ミカエルはなんだか嬉しくなってきました。 |
|
ミカエル |
「そうか、二人ともミュージカルが好きだったのか。うれしいなあ・・・。ねえ、歌ってよ!」 |
|
|
そしてミカエルが合図をすると音楽のイントロが聞こえてきました。
奥から天使達が出てきました。 |
|
|
|
♪「テレパシー」♪
あなたに伝えたい この胸の想い 感じてほしいの 私のテレパシー
さあ 目を閉じて心を開いて 子供の頃を思い出して
欲しいものはたくさんあるけどホント欲しいのは
夢見て探して信じてつかんだ胸のときめき
さあ目を閉じて心を開いて子供の頃を思い出して |
|
歌い出すロイス 一緒に歌うジョー天使達との楽しいダンス!
と、その時です 向かいの家のアンディが、大声を出して飛び出してきました。 |
|
|
アンディ |
「どーろーぼー! どろぼー!」 |
|
|
二人は、金縛り状態になってしまいました。ミカエルは言いました。 |
|
ミカエル |
「しまった! 見つかっちゃった。」 |
|
|
ミカエルは、急いで奥へ走っていきました。
アンディの後から、オリエントさんとアニーも飛び出してきました。
アニーは犬を抱いています。 |
|
オリエント |
「ちょっと、なあに、大声だして。 近所迷惑じゃないか。
寝ぼけるのもいいかげんにしておくれ。」 |
アンディ |
「だって だって、ジョージアの家にどろぼーが入って楽しそうに踊ってるよ。」 |
オリエント |
「あー分かった 分かった 分かりました。」 |
|
|
その時 犬のチップマンクがジョージアの家の方を見て吠えました。
ふとオリエントがジョージアの家を見るとドアが少し開いていました。 |
|
オリエント |
「大変だ!ドアが開いてる!早く銃をもってきなさい。」 |
|
|
アンディが急いで取ってきたのは古びたライフル銃です・・・。
二人はそっとドアに近づき、中へはいると壁の明かりのスイッチをパチッと入れました。
中には、凍ったままの二人が 手には脚本を持ったままです ミカエルはもういません。 |
|
|
アンディ |
「動くな!(ライフルをかまえました)」 |
|
|
奥の部屋からみんな、いっせいに飛び出してきました。
ミカエルとジョージア それにケイトもキムもいます。
緊迫した空気が流れています。 |
|
|
ジョージア |
「どうしたの!」 |
アンディ |
「どろぼうですよ!」 |
|
|
全員いっせいにこわばりました。 |
|
|
ミカエル |
「ちがうんだジョージア この人たち悪い人じゃないの あたしが、引きとめたのよ。」 |
ジョー
ロイス |
「え?」 |
ジョージア |
「え?」 |
アンディ |
「さあ早く 警察に電話してください。」 |
|
ケイト |
「すごい!これは、特ダネだわ!」 |
|
|
ソファーのうしろから顔を出したのは昼間の天使でした。 |
|
ビオラ |
「あれーっ! ロイスさん!」 |
ロイス |
「ど、どうして 知ってるの。」 |
|
|
天使は、大人の声で話しました。 |
|
セラフ |
「私ですよ もうお忘れですか。」 |
ロイス |
「あー! あなた子供だったの!」 |
ジョージア |
「あなた達が、話してたかわいそうな大人って、この人のことだったの!」 |
セラフ |
「うん そうだよ。」 |
ジョージア |
「・・・・わかった!アイデアに困って、それで私の本を!」 |
ミカエル |
「ちがうのジョージア 最初はそうだったかもしれないけど。」 |
アンディ |
「さあ何をもたもたしてるんですか。警察に電話を。」 |
ミカエル |
「待って 待ってよ!」 |
|
|
ロイスは、もうあきらめている様子です。 |